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 「なんだとぉっ?!もういっぺん言ってみろってばよ?!」
 「なんべんだって言ってやるぜ。お前の勝手な思い込みで俺やサクラがどれだけ迷惑被ってると思ってるんだ、このウスラトンカチ」
 「サ、サスケくん・・・」
 「迷惑って何だよ、俺がいつ・・・!」
 「ドベのお前と組まされてるだけでも十分に迷惑なんだよっ。俺はもっと強くなりたいんだ。その為にももっとレベルの高い任務を受けたいんだ、それをなんだお前が・・・」
 「俺一人の所為だって言うのかよ?!」
 「ああ、そうだ!自分のやったことよく考えてみろ、このウスラトンカチ!」
 「またウスラトンカチって言いやがった!」
 「ウスラトンカチをウスラトンカチって言って何が悪いんだよ、ウスラトンカチ」
 「むきーっっ!!」

 

 

 ああ。
 またやってしまった・・・。
 サスケはどんよりと目の前の電柱になついた。
 あんな風にきつい言い方をするつもりじゃなかったんだ。
 真っ赤な顔で歯軋りをしながら自分を睨み付けていたナルトの顔を思い出し、はあっと溜息が出た。家へと帰る足取りも重く、電柱からなかなか離れられない。
 確かにナルトはドベのウスラトンカチだ。班のお荷物になってしまうことも多い。
 だが、とサスケは思う。
 そもそもNo1ルーキーと言われている自分と、記憶力と頭の回転の速さはアカデミー時代から評判だったサクラと比較されては大抵の者はお荷物扱いにされてしまうだろう。無理もない。
 ナルトだって努力していないわけではない。毎日鍛錬していることは知っている。向上心もある。考え方だってアカデミーにいた頃よりずっとマシになっている。なによりあの明るさがいい。
 だのに。
 (また嫌われたなあ、俺・・・)
 あれだけ手酷く、しかもナルトが恋心を抱いているらしいサクラの目の前でこき下ろしたのだ。もともとナルトはサスケにいい感情を持っていない。スカしたイヤなヤツだと何度もその口から聞いた。
 「そうだよ・・・」
 つい言葉が口をついて出る。
 「アイツがいちいちそうやってつっかかってくるから・・・だから俺だって」
 その時。
 なんとも言えぬいやあな気配を感じて慌ててサスケは振り向いた。
 すると。
 通って来たばかりの四つ角から半身を乗り出すようにこちらをじぃっと見つめている胡散臭い人影が。
 サスケはその人影に見覚えがあった。・・・別に好き好んで見覚えたわけではない。今年の春に強制的に見知らされたのだ。
 「・・・・・・・・・カカシ」
 反射で手裏剣ホルダーへとまわした手を戻しながらうんざりと、サスケはついさっき別れて来たばかりの胡散臭い担当指導員の名を呼んだ。先生、なんて尊称をつける気はハナからない。出会うまではあったのだが、出会って五秒でその必要ナシと決めた。
 「アンタ、なにやってるんだよ・・・・・・?」
 元から挙動不審とは知っていたが、教え子をストーキングする趣味があるとは知らなかった。
 (この場合気配云々注意力云々は棚上げしておくこととする。腐っていようが賞味期限が切れていようが相手は上忍。しかもカカシはエリートと呼ばれる優秀な忍者だ。将来有望なサスケも現段階ではかなうはずがない)
 「サスケ」
 某野球漫画の主人公の姉のように板塀に張り付いてこちらをじぃっと見つめている上忍は言った。
 「お前は俺と似たタイプだ」
 「よせ」
 即行切り捨てたのに堪えていないらしく、カカシはなおもじぃっと見つめて言ってくる。
 「俺にはお前の気持ちがよく分かる」
 「・・・はあ?なに言って・・・」
 「サスケ」
 どどん。
 「イルカ先生も、鈍いんだ」
 「・・・・・・・・・」
 カアー、カアー。
 カラスが鳴く夕暮れの道端でカカシとサスケはかたくかたく抱きあっていた。
 男達は分かり合ったのだった。

 

 

 「けどさ」
 作戦会議と称して、近くの定食屋へカカシとサスケは流れて来ていた。此処は夜は酒も出すので多少長っ尻になっても大丈夫だからと言って親子丼を注文してくれたカカシが、自分のレバニラを食べながら聞いてきた。
 「サスケ、ナルトのどこがいいの?」
 「どこって・・・」
 「サスケ、随分と女の子に人気あるでしょ、なにもわざわざナルトみたいなウスラトンカチのドベ、相手にしなくたって」
 「ドベとかウスラトンカチとか言うなよ・・・」
 あれ?とカカシはわざとらしく目を丸くする。
 「いつもそう言ってんの、サスケじゃない」
 「う・・・」
 にやにやと笑って八宝菜をかき込みながらカカシは言う。
 「自分が言う分には構わないけど、他人に言われると腹が立つって~?青春だなあ、サスケ」
 「うっ、うるさい」
 耳まで赤くなる。
 「そうだよなあ、ナルトがドベでウスラトンカチで口先ばっかの空気の読めない大カンチガイ小僧でもサスケは好きなんだもんなあ、恋しちゃってるんだもんなあ」
 カレイの煮付けをつつきながらしみじみとくそみそに言われ、流石にサスケもむっとする。
 ・・・あいつだっていいところいっぱいあるじゃねえか。
 だが、取敢えず反論はナシにしておく。また惚気がなんのとからかわれるのは御免だったし、成り行きとはいえ、こいつとは手を組むのだ、大人の対応をしておこうとサスケは思った。
 「自分こそどうなんだよ」
 「え?」
 麻婆丼から顔をあげるカカシに、
 「自分こそ、イルカ先生のどこがいいんだよ」
 意趣返しも含めて言ってやる。
 が。
 「そんなの、決まってるでしょ」
 カカシは店のお姉さんから肉じゃがと春雨サラダの鉢を受け取りながら真顔で言った。
 「格好よくて可愛くて優しくて男前でセクシーで強くて健気で真面目で思いやりがあって素敵で恥ずかしがり屋でお茶目さんなところだよ」
 ・・・・・・少しは歩み寄れ、クソ上忍。

 

 

 好きだと、思った。
 別にそれでどうしたいとか、そう思うことはなかった。
 班が一緒だったからいつでも会えたし、元気な姿を見ているだけでなんとなく嬉しかった。
 ただ・・・そうだな。
 もう少し、話とか出来たらいいなと思う。
 サスケはあまり話し上手ではない自分を知っていたし、何を話せばいいのかもよく分からなかったが、あの弾むようなナルトの話し声をもう少し傍で聞きたいと、そうぼんやりと思った。
 そう出来たら・・・幸せな気持ちになれそうな気がしたのだ。

 

 

 「将を射んと欲すれば牛を作戦だ」
 翌日、カカシはさっそくわけのわからないことを言ってきた。
 「・・・馬だ」
 「そうとも言う」
 そうとしか言わねえよ!
 腹の中で嵐の如き怒涛のツッコミをかまし、サスケは一応聞いてみた。
 「・・・・・・・・・どういう作戦なんだ?」
 「端的に言ってしまえば、向うは俺達のことをあまり知らないんだと思う」
 カカシは真顔で言う。
 「そんな相手に好きだなんだとぶちかましたところで、反応が鈍いのは当然だろう?まずは俺達という人間を知ってもらわねば」
 「・・・・・・成る程」
 流石腐っていようが賞味期限が切れていようが上忍。素直にサスケは感心した。
 「一理あるな」
 「だろう?」
 カカシはぐっと握り拳をつくって叫ぶ。
 「イルカ先生だって、俺のことを詳しく知ってくれれば、この可愛くて二枚目でいぢらしくて強くてカッコよくって技師(ギシぢゃないよ、ワザシだよ?)でコケティッシュでちょっとえっちなカカシ先生にぞっこんになるに決まってるんだあ!」
 サスケもそう思うよね?!と鼻息荒く同意を求められ、サスケは速やかに感心したのを取り消した。ここが人通りのない演習場でよかった。馬鹿の知り合いだと知られずにすむ。
 「よし、そうゆうわけで将を射んと欲すれば牛、もとい馬作戦決行だ、サスケ!」
 「・・・具体的にはどうすればいいんだ?」
 しれたこと、とふふんと鼻でカカシは笑った。
 「お互い相手の想い人のところへ行って、それとな~く長所をアピールしてくるんだ。これで俺もお前も好感度UPだ」
 ・・・・・・将を射んと欲すれば馬?
 言葉だけじゃねえ、意味も間違ってやがる・・・。
 最早ツッコむ気も起きないサスケは、早々にアカデミーへ行くことに決めた。今日は七班は夜間任務なのだ。夕方の集合時間まではヒマだ。
 サスケ~、イルカ先生によろしくねえ~とうざったいピンクのチャクラを燃やして手を振るカカシを無視して歩き出す。こんなんでいいのだろうかと考えながら。
 だが。
 カカシの口の上手さは知っている。ナルトへ上手く言ってくれるならそれに越したことはない。普段、イチャパラ教師だの寝坊すけだのくそみそに言っていても、ナルトは忍者としてのカカシを尊敬している。そのカカシの言葉なら素直に聞くのではないか。
 そう考えると、サスケの胸の辺りがほやんと暖かくなった。

 

 

 職員室でヒマそうにしていた老教師に教えられた通り印刷室へ行ってみると、イルカがいた。
 「よう、サスケ」
 古い紙とインクの匂いのする狭い部屋の中でイルカはにこにこと笑ってサスケを迎えてくれた。
 「・・・・・・久し振り、イルカ先生」
 「どうしたんだ?カカシ先生のお使いか?それとも遊びに来たのか?」
 カカシ先生、の名に一瞬ぎくりとするサスケだったが、あまり表情に出ないのが幸いしてイルカには気取られないで済んだらしい。イルカは、元教え子が顔出ししてくれたのが余程嬉しいのか、にこにこ笑いながら、それでも少しすまなさそうに、
 「急いでないんだったら、ちょっと待っててくれ。これだけ終らせたいんだ。済んだら職員室で茶ぁご馳走してやるからな」
 と、旧式の大きな青焼きコピーの機械を指して言ってきた。
 「ハイ・・・」
 「どうだ?任務は?慣れたか?」
 「・・・特に問題はないよ」
 「はは、そりゃよかった。流石はサスケだ。俺の教え子だもんな、優秀な筈だ」
 ああ、とサスケは思う。
 イルカのこういうところが好きだった。
 うちはの家系とかNo1ルーキーとか、そういう目で自分を見ない。ただの生徒、それだけだ。
 自分は復讐者なのだから、ただのガキ扱いされていい筈がない、そう思いながらも、サスケはイルカにそう言われる度、不思議と心が和む自分がいることを知っていた。
 「で、ナルトやサクラはどうだ?」
 「・・・あ?」
 「あいつら、お前に比べりゃまだまだだからな。難儀してねえか?」
 ズレた原稿を直しながらイルカは聞いてきた。ナルトの名前にサスケは少しどぎまぎしてしまう。そんな彼の沈黙をどうとったのか、のんびりとイルカは言葉を続ける。
 「サクラは頭いいけど、女の子だしな、実働はアカデミーといろいろ勝手も違って苦労してるだろ?」
 「・・・そうでもねえよ」
 「ま、アコガレのサスケくんと一緒の班じゃリキも入るか。ははは」
 些かオヤジ臭い言い種でイルカは笑った。
 「ナルトはどうだ?カカシ先生に随分とご面倒かけてるだろう?」
 カカシの名前が出た!サスケの背が自然に伸びる。アピールと言ったってどう話を持っていけばいいのか正直よくわからなかったが、幸い向うから持ち出してくれた。このまま売り込んでしまえ、とサスケは思った。
 が。
 ・・・アピールってどうすりゃいいんだ?
 愕然とするサスケ。
 (と、とにかく誉めればいいのか?・・・しかし何を誉めりゃいいんだ?!)
 顔 → 見たことねえ。
 性格 → 無理だろ、そりゃ。
 能力 → 今更。
 ああ!
 もともとサスケはおべんちゃらが言える性質ではない。ましてカカシの、あのイチャパラ教師のどこを誉めろと?!
 (ど、どうしよう・・・どうすりゃいいんだ・・・)
 だらだらとイヤな汗を流し再度黙り込んでしまったサスケをどう見たのか、イルカは機械のスイッチを入れると困ったように笑った。
 「まあ、仕方ねえか、アイツは」
 アカデミー時代はさんざナルトのイタズラに手を焼かされたイルカである。
 「サスケやサクラにも面倒かけてるんだろ?すまねえな」
 「・・・・・・・・・どうしてイルカ先生が謝るんだよ?」
 少々、カチンと来た。まるでナルトが彼のもののようなもの言いをする。知らず刺々しくなるサスケの言葉に、イルカは頭を掻いた。
 「そう言やそうだな、はは。・・・なんか保護者ヅラしちまったか?俺」
 素直に言われ、却ってサスケのほうが慌てた。
 「違・・・そうじゃなくて・・・」
 「どうもなあ、アイツ放っておけなくてよ。教師が特定のヤツばっか気にしちゃいけねんだろうがよ」
 「・・・・・・」
 「アイツ見てると自分のガキの頃思い出しちまってなあ」
 「え?」
 音を立てて止まった機械から原稿を外し、数を数えながらイルカは恥ずかしそうにまた笑う。
 「周りに相手にされなくて、寂しくて寂しくて、相手にしてもらおうと馬鹿やって、結局それも空回りで・・・ますます浮いても、他に自分をどう表現したらいいか分からなくてなあ・・・」
 「先生・・・」
 「ん?」
 「先生も・・・寂しかったのか?子供の頃」
 刷り上った紙をまとめて輪ゴムで止めると、にっとイルカは笑って言った。
 「皆にはナイショだぞ?・・・すごく寂しかった」
 「・・・・・・・・・」
 イルカが子供の頃、九尾のバケギツネが里を襲ったと大人達から聞いていた。イルカはその時、両親を揃って失ったそうだ。・・・血溜まりの中に倒れていた自分の両親を思い出し、サスケの身体が固くなる。
 「大人になればな、そういう時どうすればいいのか分かるようになる。俺もそうだった。イタズラ以外に自分を認めてもらうやり方を覚えて、俺もこうしてアカデミーの教師なんてやってる。・・・でもな」
 イルカはサスケを見ながら言う。その視線がひどく優しいものに感じられ、サスケはつい目を逸らしてしまった。
 「ナルトはまだガキだからなあ。上手いこと、出来ねえんだよ」
 だから。
 「サスケ」
 イルカは言う。
 「ナルトを見捨てないでやってくれよな。アイツもいいところ、いっぱいあるんだからよ」
 そんなの。
 知ってる。
 言ってやろうとして、何故かサスケは声に出来なかった。
 代わりに出たのは。
 「先生・・・」
 「ん?」
 「俺、ナルト好きだぜ・・・」

 

 

 は。
 今俺なんて?!
 ぎゃああっ、流された、待って待って今のナシ!イルカ先生忘れて、イヤ忘れろ!!
 頭の中でパニくるサスケ。しかし幸か不幸か表情はいつもの通りクールに決まっていた。
 イルカはぽかんとした顔で、元教え子の少年を見つめていたが、
 「・・・・・・そうか」
 そう静かに言うと。
 ぽん。
 気付けばサスケの頭の上に大きなイルカの掌が乗せられていた。暖かいそれはサスケの長めの髪をかき回すようにくるくる回ってから、またぽん、と軽く彼の頭を叩いた。
 「ありがとう。・・・なんか嬉しいな。また保護者ヅラしちまうけど、なんか嬉しいよ」
 優しく静かに笑うイルカに、サスケの頬が何故か赤くなった。
 「べ、別に礼言われることじゃねえよ。俺だけじゃなくて、その、サクラもそうだと思うしよ・・・」
 「うん」
 また嬉しそうにイルカは笑う。
 「仲良くしてくれよな、皆」
 そしてほんの少し得意げに。
 「皆等しく火影の忍びだ。一枚岩だ。仲良く、な」
 多分。
 カカシがイルカに惹かれるのは、彼のこういう部分なのだろう。
 そう考えて、サスケはおかしくなった。
 カカシは自分とサスケが似たタイプだという。
 正直ふざけんなという感じだが、ことこの想いに関してはそれは正しいかもしれない。
 だって自分も、彼も。
 決してかなわない相手に恋をしている。
 世間的に言えば、写輪眼だのエリートだの、此方の方が上なのに、どうしても勝てないところがある。
 それは・・・。
 「頼むぞ、サスケ」
 はい、と小さな声で返せば、イルカはその薄い背中を叩いて職員室へと連れて行った。茶と菓子を出され、現状報告や噂話に花が咲き、漸くここへ来た目的を思い出したのは、もう集合時間という頃になってからだった。慌てたサスケがどうにか、カカシ先生のことをどう思う?と聞けば、イルカは
 「カカシ先生か?面白え人だよな」
 そう言ってけらけらと笑った。

 

 

 装備を整え集合所へ着けば、待っているのはサクラ一人だった。
 「カカシ先生、もしかしてまた遅刻ってことないわよねえ、サスケ君?」
 半分心配、半分うんざりと言った声で話し掛けてくるのに、ああとかなんとか生返事をしていると、見慣れた黄色いアタマとひょろりとした姿が連れ立ってやって来た。
 「あ、珍しい。ナルトとカカシ先生一緒なの?」
 サクラに言われ、サスケの胸は早鐘を打つ。
 ・・・・・・上手いこと、言ってくれたのだろうか。
 自分は失敗してしまったけれど、口八丁のカカシなら・・・!
 どきどきと、待つ。
 近づいて来たナルトは真っ赤な顔をしていた。
 真っ赤な顔で、歯を食いしばるようにして。
 サスケの前を素通りしたのだ。
 振り向きもせず、足を緩めもせず、そのまま。
 どころか。
 「・・・サスケ、ふざけんなよ。ゆるさねえからな。・・・絶対ホエ面かかせてやるってばよ!」
 すれ違い様、低い声でそんなことを吐き捨てられた。

 

 

 え?
 どゆこと?

 

 

 石の如く固まったサスケがそれでも必死で顔を上げて見てみれば。
 某洋菓子チェーン店の店頭人形のようにほっぺに渦巻きをのせてぺろりと舌を出した(と言っても、面布に額当てで隠されていたのだが、サスケにはそう見えた。そう見えたのだ)ことの提案者である上忍が両の親指と人差し指と小指を立てていた。
 「ごめえん、サスケえ、ちょっとした手違いがおきちゃったかも~」
 ふ。
 ふざけんな、てめえ!
 固まったままサスケは内心で叫んだ。
 そりゃもう叫んだ。
 だって怒ってる!
 ナルト怒ってる!
 どーみても怒ってる!
 あんなに低く、静かに怒ってるナルト見るのは初めてだぞ?!
 サスケ~、イルカ先生になんて言ってくれた?なんてもじもじして聞いてくる馬鹿を思いっきり睨みつければ。
 「大丈夫、センセイ次頑張るから!」
 次?!
 あるのか、次?!
 サスケは呪った。心の底の底から。
 何を?
 人間を見る目のない自分を。
 やっぱり復讐者は群れてちゃダメなんだ!
 ああ。

 

 

 カアーカアーとカラスは鳴く。
 ゴーゴー頑張れ、うちはサスケ!
 恋するキミの明日はどっちだ?!
 (・・・いっそイルカ先生に乗り換えちゃうか?)